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Project 02_Business Card

名刺は顔です、だからバラバラにしました

一人ひとり異なる個性と役割を持ったメンバーには、それぞれに最適な名刺があるはず。
そんな思いから始めたこのプロジェクトでは、皆、自分らしさの表現や新しい名刺のあり方をストイックに追求しました。更にその印刷工程においても、今まで使う機会の無かったさまざまな技術に挑戦。まさに実験室と言わんばかりに取り入れています。
そんなこだわりをひとつひとつカタチにした結果、全く違うコンセプトを持った8種類の名刺が生まれました。

case01アートディレクター 松本龍彦

現存すること自体が貴重な和文タイプライターによる
究極のアナログ名刺

紙:GAファイル 900K | 印刷:タイプライター | 協力:藤原印刷

長野県松本市に本社を構え、こだわりの印刷を生み続けている藤原印刷。自社で制作したIMINDのカタログをお願いしたことがきっかけとなり、藤原印刷の所蔵する和文タイプライターで名刺を制作できる機会をいただきました。

和文タイプライターとは、かつてワープロさえ生まれる前の時代に印刷業界の版下作成を支えた機械で、現存するのは日本に数台と言われる貴重なもの。ひらがな、カタカナ、漢字、英数字と文字数がとても多く、初めは文字探しだけでも一苦労です。文字を探し、位置を決め、力加減を調節し、文字を打つ。単純にこの繰り返しですが、一文字打ち間違えれば始めからやり直し、という非常にシビアな作業でした。

失敗しては紙を替え、人を替えで丸一日打ち続けましたが、結局予定していた制作枚数30枚には到底及ばず…
しかし自分たちの手で一文字、一文字打った名刺には、普段の制作とはまた違う、より強い愛情を感じました。

あえて機械ではできないものを作りたいということで、紙は印刷機に通らない厚さのGAファイルをセレクト。自分たちの手で一枚ずつ断裁したものを使用しました。

今回の体験により、デジタルでは当たり前に使っている「戻る」「修正する」という機能がどれほどありがたいかを感じるとともに、失敗を乗り越え完成した時の大きな達成感が、アナログならではのすばらしさであると強く実感しました。

case02テクニカルディレクター 米田秀

1:(1+√5)/2の黄金比が生み出す、比類なき「数学的」美しさ

紙:ファイングロス | 印刷:オフセット 1C, 箔押し クリア | 印刷会社:グラフ株式会社

テクニカルディレクターである米田は、普段よりプログラミングで数値、数学とは縁が深く、その絶対的な美しさに魅了されていたと言います。

そこで自身の名刺では1:(1+√5)/2、いわゆる黄金比を絶対のテーマと位置づけました。それは紙の形やレイアウトに始まり、文字のQ数やスペース、行間までも、黄金比のグリッドにより決定するという徹底ぶり。実際に出来上がってみると、そこには言いようの無い絶対的な美しさがあり、改めて黄金比の偉大さを思い知らされました。

何より際立つアクセントは、黄金長方形の対角線として張り巡らされているクリアの箔押しです。デザインの骨組みや意図を補うとともに、透明ながらも全体を支配するという、まさに黄金比の不思議さそのものを表現しています。

レイアウトが特徴的なため、敢えて書体はベーシックを意識し、日本語はAXISを、欧文はUniversをセレクトしました。印刷は、シャープでデータに忠実な仕上がりと定評のある株式会社グラフのオフセット印刷で、非常に質の高い仕上がりとなっています。

テクニカルディレクターの米田らしく、感覚に頼らない、「数学的な美」が支配する美しくも個性的な名刺となりました。

case03グラフィックデザイナー 近藤茂樹

職人の手仕事による、偉大なるスタンダード

紙:アラベール  | 印刷:活版印刷 1C | 印刷会社:嘉瑞工房

「渡すという行為まで含めたデザインにしたい」と考える近藤の名刺は、渡す時に相手と自分の距離が近づく横長サイズを採用。名前と肩書きを縦組にしたセンターレイアウトは、両手を添えた時こそが完成となるようデザインされています。

書体は日本語を明朝体、欧文をGaramondとし、さらに全体のバランスを考えTEL→Phone、FAX→Facsimileといった表記も細かく調整しています。

また紙は、手触りがありナチュラルで上品な印象の「アラベール」を使用することで、クッション性のある紙にもかかわらず、ほとんどプレスを感じない仕上がりです。

今回、印刷とタイポグラフィをお願いした嘉瑞工房は、海外の活字鋳造会社から直接輸入した品質の高い欧文活字を多数保有する活版印刷の名匠。「書体、スペース、文章、印刷方法、紙」というシンプルな要素のみで、どれだけ質の高い名刺に仕上げるか、というテーマに共に挑戦してくれました。シンプルで普遍的且つ、職人の手作業を感じられる仕上がりは想像以上に素晴らしく、匠の技を感じることができる究極の一枚に仕上がりました。

case04デザイナー 今北舞

「デザイナーは裏舞台できらりと光る」というポリシーを
デザインで余すところなく表現

紙:ファイングロスqq | 印刷:表:オフセット1C 裏:オフセット4C, 箔押し ツヤ黒 | 印刷会社:グラフ株式会社

「自分は主役であるクライアントを引き立たせる、舞台裏の人間である」
「表現者として鋭利に光るアイデアを持つ人間でありたい」
デザイナー今北のそんな想いを、余すところなくデザインに込めたのがこの名刺です。

裏面には「舞台裏」を思わせる4Cのリッチブラックを全面に敷き、そこへツヤ黒箔のロゴを入れることで「鋭利に光るアイデア」を表現。表面はシンプルなデザインながら、縦組と横組に文字を組むことで紙面に表情を持たせています。また本人は外出が多いため、携帯番号やメールアドレスをプラオリティーの高い位置に置くことで、コミュニケーションを円滑に進められるよう意識しました。

書体は女性らしく品のあるものにしたいという思いから、日本語は明朝活字の二大潮流の一つと言われる秀英体を、欧文はCenturyをセレクト。ビジネス名刺然とした中にさりげなくデザイナーらしさが光る、そんな上品な名刺に仕上がりました。

case05デベロッパー 藤田俊一

データフォーマット「json」で、本当に名刺が作れるのか?

紙:プライク | 印刷:箔押し メタリックグリーン | 印刷会社:有限会社コスモテック

jsonとは、Webでよく使われているJavaScriptというプログラム言語におけるひとつのデータ形式で、情報を軽量・簡潔に表現できるというメリットを持っています。デベロッパーである藤田は、このjsonを日常的に利用しており、この形式の持つ汎用性や簡潔性に愛着を感じていたことから、jsonで名刺を作ったら一体どうなるのか?という今回のコンセプトが生まれました。

実際にjson形式で記述された名刺は、一目でWebデベロッパーらしさを印象付けるとともに、ストイックなまでにシンプル。用紙は凹凸が少なく固い印象でディスプレイを思わせるプライクを使用。ディティールはOCRBとメタリックグリーンの箔で往年のコンソール画面を演出し、デジタル感を高めました。

デザイナーにとってはスタイリッシュに、プログラマーにとっては親しみを感じさせる名刺に仕上がっています。

case06デザイナー 渡邉大純

昭和の一時代を築いた石井ゴシックが醸し出す
ノスタルジックなあたたかさ

紙:レトラ | 印刷:活版印刷 1C | 印刷会社:Bird Design Letterpress

80~90年代には多くの印刷物で使われ、昭和を代表すると言っても過言ではない書体、石井ゴシック。写研の創始者である石井茂吉氏の手により作られた、写真植字の歴史の中で最も古いゴシック体です。

デザイナーの渡邉は、自らの成長とともにあったこの書体に非常に親しみを感じており、また、石井ゴシックの持つノスタルジックな雰囲気やシマリのあるプロポーションに心底陶酔していることから、この書体をデザインの軸としました。(石井ゴシックはフォントデータ化されていないため、オニオン企画による写植文字をデータ化しています)

名前を「かな」で組んでいるのは、石井ゴシックの持つ「日本語のあたたかさ」が漢字よりも「かな」のほうが強かったから。またレイアウトには縦組を採用、数字はすべて漢数字、ファックスの表記も「電送番号」とするなど、随所で日本語らしさを高める工夫をしています。

印刷においても「人間らしいあたたかさ」を印象付けるため、敢えて深いへこみが得られるディープレリーフタイプの樹脂凸版を用いた活版印刷を採用。紙は、クッション性と軽さを持ち合わせながらも腰のあるレトラを使用し、プレス感をより強調させています。

仕上がった名刺はアナログを彷彿とさせる、あたたかな印象の一枚となりました。

case07アートディレクター 松本龍彦

さまざまなスタイルの案件に対応できる
クリアな感覚を表現

素材:プラスチック | 印刷:シルクスクリーン | 印刷会社:ART名刺工房

初めてのクライアントに会う時、まさに名刺は顔と言えます。「自分がどういう人なのか?」を言わずとも伝えたい。スケルトン名刺は、まさにその気持ちの表れです。

角を落としたスケルトンな姿は、さまざまなスタイルの案件に対応できる柔軟でクリアな感覚を表すとともに、デザインのインパクトも高めています。

当プロジェクト開始以前、全社員で使用していたこの名刺の評判は非常に高く、会社の成長に大きく貢献する一枚となりました。

case08アートディレクター 中村和貴

[番外編]僕はあこがれのChappieになった!

制作:GROOVISIONS

グラフィックからムービー、プロダクトまで幅広く手掛け、オリジナルキャラクター「Chappie」でも知られるデザイン集団「GROOVISIONS」。弊社メンバーも以前からの大ファンであり、「LAWSON WALK」では一緒にお仕事をさせていただいたご縁もあります。

そのGROOVISIONSが2012年に銀座で開催した「groovisions Lesson 2012」の会場では、自分自身が「Chappie」になれるオリジナル名刺をオーダーできるということで、アートディレクターである中村の名刺を作成していただきました。

名刺作成というビジネスライクなものでさえ、エンターテインメントとして成立させてしまうGROOVISIONSのクリエイティブ力はとても素晴らしいと感じます。

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